からだ美人

中真生活の勧め その8 ~食事編(鉄分)~

  • 2015.2. 4

前回はミネラルについて総論的に書きましたが、特に重要なミネラル成分の鉄分について見てみましょう。
 この鉄分も他のミネラル同様、身体には少ししか必要ないのですが、不足すると重篤な病気や症状を引き起こし、また、その摂り過ぎによっても様々な弊害が起きてしまうこともある、大事な栄養素なのです。

貧血の原因に
 重要なミネラルの一種である鉄分は不足すると貧血(鉄欠乏性貧血)の原因になることがよく知られ、特に幼児や妊婦、高齢者では要注意と言われています。女性は毎月の月経出血により鉄分を失ってしまうので、男性に比べて鉄分の補給にはさらに気を付ける必要があります。
 鉄分は赤血球を構成するヘモグロビンの材料で、身体中に酸素を運ぶのに欠かせない成分です。また筋肉や体内で働く酵素にも必要なため、鉄分が不足すると全身に様々な影響が出てきます。赤血球やヘモグロビンが減り、鉄欠乏性貧血になると、爪に異常が出たり倦怠(けんたい)感や運動機能や免疫機能の低下、イライラや集中力低下などの原因にもなると言われています。

うつ状態と関係も
 体内で鉄分は脾臓(ひぞう)や肝臓、骨髄などに貯蔵されていますので、鉄分が必要になると貯蔵分から補給されます。このため鉄分が減り始めてすぐではなく、貯蔵が尽きてから貧血になるので、気付いたときには深刻な状況になっていることも少なくありません。
 鉄欠乏による貧血は血液中のヘモグロビン量を調べればすぐにわかりますが、体内の鉄の貯蔵量は正確にはわかりません。ただ、血液中のフェリチンという鉄分とたんぱく質からなる物質の濃度が貯蔵量の指標になります。フェリチンは男女差が大きく、一般には女性は男性よりも少なく、女性だけでみると閉経前が少なく、閉経後に増加します。フェリチンが通常より少ない人は潜在的な貧血の可能性があると言われています。
 うつ状態との関係も指摘されており、男性はフェリチン濃度が低いと、抑うつ度合いが高い傾向がみられると言われていますが、女性はその傾向がハッキリ出ないそうです。

サプリメントなどの摂り過ぎにも注意
 不足している人が鉄分を摂取し、吸収されれば貧血の改善になりますが、多く摂り過ぎると、便秘や胃腸障害などを起こして、却って体調を崩すこともあります。通常の食事だけなら摂り過ぎの心配はないのですが、治療用の鉄分の服用で過剰になる場合があります。
 特に小児や乳児が大人が飲んでいるものを誤って飲んでしまう場合も含めて、急性鉄中毒になる可能性があるのです。これは重度の臓器障害や死につながる恐れがある病気です。
 鉄分は不足でも過剰でも様々な影響を人体に与える可能性のある「バランスが難しい栄養素の一つ」だと言えます。

基本は食事で摂る
 鉄分は食事から摂ることが原則です。食べ物の中の鉄分は肉などに含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄があり、ヘム鉄のほうが吸収率が2~3倍高いのです。お肉の赤身は鉄の色ですので、吸収しやすいヘム鉄の状態で食べることができます。プルーンは鉄分の多い果物ですが、夏の果物の典型で身体を冷やす働きがありますので朝や昼間に食べるようにして、夜は控えましょう。野菜では小松菜やほうれん草は鉄分が多いのですが、吸収しにくい非ヘム鉄ですので、野菜だけでは十分に補えません。
 また、ビタミンCは鉄分の吸収を促しますので一緒に食べるように心がけましょう。反対にお茶に含まれるタンニンなどは吸収を阻害しますので、お茶と一緒に食べないようにします。
 大豆はたんぱく質、イソフラボン、サポニンなどが入っていて健康に良いとして毎日食べている方も多いのですが、消化器官内で鉄や亜鉛、カルシウムなどと強く結びつき、ミネラルの吸収を阻害するフィチン酸塩という物質も入っています(納豆などの発酵食品はフィチン酸塩を減少させる)。
 ですから特にベジタリアンの人で、肉は一切食べないで、たんぱく質は大豆だけで補っているという方は、鉄などのミネラル不足になりやすいこともありますので、注意が必要です。
 細かく考えると難しいのですが、いろいろな食材から鉄分を摂ることが大切と言えます。食事を改善しながら、上手にサプリメントを摂取したりするようにしましょう。

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女性に多い貧血の改善には
 女性は毎月の生理(月経出血)のため、よほど食事に気を付けなければ、鉄欠乏性貧血になりやすく、貧血で苦しんでいる女性は少なくないと言えます。最近の若い女性では過剰なダイエットが原因になっていることも多いようです。また、妊娠期の女性は、臨月(10ヵ月目)には9割の人が程度の差こそあれ貧血となるということです。
 このように特に女性にとっては深刻な貧血に対して、医者の対応は昔から少しも変わっていないのが現状です。「貧血は鉄分の不足が原因」というマニュアルにしたがって、鉄剤を出すだけで、それでも改善しない場合、鉄剤を注射で補うということです。鉄剤を飲んでも身体に吸収しにくく、また胃を荒らすことが多いので、実際にはなかなか貧血の改善は難しいと言われています。

貧血には鉄分だけでなくたんぱく質を
 貧血とは、赤血球の中にあるヘモグロビン(血色素)の量が不足している状態のことを言います。ヘモグロビンは酸素を運ぶ役割を持っているので、これが足りなくなると組織の末端で酸欠状態が起こり、そのため顔色が悪くなったり、疲れやすかったり、立ちくらみを起こしたりするのです。
 当然、どうやってヘモグロビンを増やすかが貧血対策のポイントになるのですが、それは足りない材料を取り入れればいいのです。
 ヘモグロビンの材料は、ヘム鉄という鉄分とグロビンというたんぱく質です。ヘモグロビンという名前を見れば、この二つが欠かせないことは明らかです。病院では、二つの材料のうちの鉄分のほうにしか目を向けていないので、鉄分だけを与えても、ヘモグロビンは増えないのです。ここでまず必要なのは、たんぱく質なのです。
 さらに、貧血を改善するには摂るべき栄養素はたくさんあります。ヘモグロビンが出来上がるまでには、ビタミンB1、B6、B12、葉酸、ビタミンC、銅、ニコチン酸などが必要になってくるからです。
 たしかに鉄分も必要な成分の一つですが、鉄剤には、たんぱく質もビタミン類も銅も何も入っていないのですから、貧血がなかなか改善されないのは無理もないと言えます。
 人間には一日に体重の1000分の1の良質なたんぱく質が必要であると言われています。50キロの女性は50グラムのたんぱく質が必要です。それだけのたんぱく質を確保するには、ふつうの食事をしていても容易ではないのですが、ダイエットで食事を減らせば、ますますたんぱく質は不足してしまうことになります。
 貧血の人に特にお勧めなのがお肉の赤身です。この赤身はヘム鉄の色ですので、貧血に必要なたんぱく質とヘム鉄を同時に取り入れられるのです。また、ヘム鉄は植物由来の鉄分より吸収しやすいので、特に貧血の人は赤身のお肉を頂くことが早い改善につながることなのです。

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